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【一から解説】「フェルミ推定」とは?求められる能力は?

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著者: AC Research Group

更新日:

目次

  1. 1. 「フェルミ推定」とは何か
  2. 2. 選考におけるフェルミ推定の目的と位置づけ
  3. 3. 例題と解説
  4. 4. 面接におけるフェルミ推定で求められる能力
  5. 5. フェルミ推定の応用
  6. 6. まとめ
  7. 7. Appendix

「フェルミ推定」とは何か

フェルミ推定とは

フェルミ推定とは、ケース面接の一種で、「日本にある電信柱の数は?」「日本の家庭用冷蔵庫の市場規模は?」などの未知の数値を知識や論理的な推定から導くことです。

世の中には、調査が難しくデータとして存在しない数値や、将来の予測が必要な数値がたくさんあります。そのような数値を簡易的でありながらも一定の妥当性をもって推定する際にフェルミ推定が用いられます。

フェルミ推定などのケース面接はコンサルティングファームの選考に用いられることで有名ですが、近年は総合商社をはじめ複数の業界でも選考に取り入れられてきています。その考え方には選考だけでなく業務にも役に立つ要素が多く含まれています。

この記事では、就職活動におけるフェルミ推定の概要から実際に対策を行っていくための応用まで、一から解説していきます。 

本記事はコンサル対策の「初級」になります
さらに対策を進めたい方は「中級」「上級」(※近日公開予定)の記事も参照してください。 

選考におけるフェルミ推定の目的と位置づけ

フェルミ推定の出題意図

フェルミ推定は”正解のない課題”を解く過程を見ることによって、受験者の思考力・コミュニケーション能力・計算力を測る手段の1つです。最終的に導きだされた回答の数値よりも、計算に含める要素の選定や、その計算に至った思考回路など、答えを出す過程が非常に重要になってきます。

選考においては序盤で課されることが多く、いわゆる”足切り”的な意味合いをもって課されることも少なくありません。

実際の面接では思考時間が2〜5分程度、場合によっては思考時間が与えられないこともあるので短時間で考え計算し分かりやすく伝えることができるかどうかを見極める意図があります。 

フェルミ推定を課す企業の例

コンサルティングファーム・投資銀行・総合商社

選考フローにおける位置づけ

出題頻度が一番高いコンサルティングファームにおいては、フェルミ推定はケース面接の一環として出題されることが多く、選考フローがおおよそ以下の通りになっています。

ES→webテスト→筆記/録画→ケース面接→ジョブ(インターン)→ケース面接→内定

 

例題と解説

例題

ここでは実際に戦略コンサルティングファームで出題されたことのあるフェルミ推定の例題と解説を行っていきます。

まずは例題をいくつか見ていきましょう。コンサルティングファームの選考では、以下のような問題が出題されます。

東京のあるカラオケ店の月間売上は?

日本のベビーカーの市場規模は?

日本における年間の宅配の総回数は?

このように、前提をある程度自分できめつつ、一定の範囲の売上高・回数・市場規模を求めていくものが多いようです。

では、実際に戦略コンサルティングファームで出題されたフェルミ推定を解いてみましょう。

Q.日本における振袖レンタルの市場規模を推定せよ(コロナによる影響は考慮しない)[戦略コンサルのジョブ後面接で出題] 

解説

A.

まず市場規模を分かりやすい変数に分解します。

市場規模=【①年間利用回数】*【②1回当たりの利用単価】

それぞれについて要素をさらに分解して考えていきます。

振袖レンタルのユースケースは複数考えられますが、今回は主なユースケースは成人式と置き、考えてみます。

①年間利用回数=【今年20歳になる人口(100万人)】*【女性割合(50%)】*【振袖着用率(80%)】*【レンタル利用率(60%)】

②一回当たりの利用単価(15万円)

=360億円

※文末に詳しい解答を記載

フェルミ推定においては、この問題に限らず、まずお題を因数分解し、それぞれの因数を構成する要素を考えながらそれぞれに数値を当てはめることで最終的な回答を出していきます。

面接におけるフェルミ推定で求められる能力

テストではなく面接であることを考えると、フェルミ推定で図られている能力は計算能力だけではないでしょう。

フェルミ推定で求められる能力として思考力・計算能力・コミュニケーション能力の3つに分解して解説していきます。 

思考力

思考力は論理的思考力・構造化力・仮説思考力の3つに分けられます。

論理的思考力

論理的思考とは、物事を体系的に整理し、矛盾や飛躍のない筋道を立てる思考のことです。ロジカルシンキングとも呼ばれます。

「この矛盾や飛躍のない」とは、”客観的に見て納得できる”ということです。論理的思考はフェルミ推定に限らず、あらゆるコミュニケーションをとる上で最低限必要な能力といえるでしょう。

構造化力

構造化とは物事を構成要素ごとに分解し、構成要素間の関係を分かりやすく整理することです。

フェルミ推定では、推定する対象の数値を適切な構成要素に分解し、それぞれに対して妥当な数値を置いていく必要があります。

構造化の仕方は無数にありますが、その状況に適した切り口で分解することが求められ、切り口の質も評価の中で重要になってきます。

後述する仮説思考などを用いて構造化の精度を高めましょう。

仮説思考力

仮説思考とは、情報収集や分析を実行する前に仮説(現在得られている情報から導き出される最も妥当な結論)を立て、最終目的や成果物の形を常に意識しながら情報収集や分析を行い、仮説の検証と修正を繰り返して最終的な結論に至るという思考方法です。

具体的な例としてよく取り上げられるのは研究です。研究者は実験をする前に仮説(実験結果はこうなるであろうという予測)を立ててから実験を行い、その仮説が正しいかどうかを検証します。もし仮説通りの結果にならなかった場合でも、そうならなかった要因の仮説を改めて立てた上で実験を繰り返します。

仮説思考は短時間で成果を出すうえで極めて重要な思考方法であり、実験を行う研究だけでなくビジネスの場でも重視されます。特に短期間で高い水準のアウトプットが求められるコンサルタントには必須の思考法であるため、面接でもこのような考え方ができているかどうかが問われます。

フェルミ推定ではこのような思考力を最大限発揮し、限られた時間の中で説得力のある回答をする必要があります。

仮説がない状態で問題を一から網羅的に考えていくと、回答の精度が落ちるだけでなく、そもそも時間が足りなくなってしまうリスクも考えられます。回答中は常に、その問題の着地点(結論)を事前に想像しながら思考を深めるようにしましょう。

 

計算能力 

フェルミ推定が面接で課される際には、ほとんどの場合、計算は手計算で行うことが求められます。思考時間中だけでなく、面接官との質疑応答の中で新たな計算を求められることも多くあり、その中で計算の早さや正確さは評価のポイントとなっています。

緊張感のある状況の中で計算を早く正確に行うためには、数値計算を早く正確に行うだけでなく、計算する前の数値の置き方の工夫も必要となってきます。

コミニュケーション能力 

ここまで思考力や計算能力の重要性を説明してきましたが、フェルミ推定と言えど面接であることには変わりなく、コミュニケーション能力も重要になってきます。

一般にこのコミュニケーションは軽視されがちですが、どんなに思考力や計算力が優れていようとコミュニケーションが十分に取れないと判断された場合は選考の通過は難しいでしょう。

フェルミ推定は、推定した数値とその数値に至った経緯を1〜3分程度で面接官に伝えた後、面接官とディスカッションをするというような形式で進むことが多いです。

ディスカッションにおいて、自身の伝達力や面接官のコメントに対する柔軟性を示すことは非常に重要であり、以下のような観点は特に重視されます。

①最低限の礼儀があるか

②自分の考えをを分かりやすく伝えられるか

③相手の発言の意図を汲めるか

④自分の仮説に固執せず、柔軟なディスカッションができているか(自分が今持っている視点に加え、複数の選択肢を提示できるか)

以上のように、フェルミ推定では、

・論理的思考力・構造化力・仮説思考力のような考える力

・計算能力

・コミュニケーション力としての伝達力・柔軟性や視点の広さ

が重要と言えるでしょう。 

 

フェルミ推定の応用

フェルミ推定そのものの利用 

フェルミ推定はただの数値遊びや面接のいちプロセスと考えられがちですが、フェルミ推定を行ううえでの思考回路や要素の切り方は実際のビジネスでも役に立つことも多いです。

①データを取るのが大変、もしくは取ることのできない量の推計

世の中には正確なデータを取ることが難しい数値がたくさん存在し、むしろ実際に取れるデータの方が少ないとも言えます。

例えば、インターネットに「市場規模」として載っているデータも、業界大手企業の売上を合計した値を市場規模としているため正確な値が反映できていなかったり、そもそも求めたい「市場」の定義と合致していなかったりすることは多々あります。

そのような状況下でもフェルミ推定のような推論を用いれば十分に仮説が構築でき、プロジェクトを進めることができます。

「データを取ってから考えよう」「データが取れないから諦めよう」というのは前述の仮説思考とは真逆の思考であるため、そのような考えを強制するためにもフェルミ推定は利用できます。

②将来の数値の推計

ビジネスの場においては常に将来の数値を予測することが求められますが、その際にもフェルミ推定のように適切な切り口で構造化されたモデルは非常に役に立ちます。

「全体はどう変化するのか?」ではなく「どの変数がどれだけ変化するか?」というように状況をより精緻にとらえることができるため、推計の精度があがるだけでなく推計の調整や検証が可能になります。 

フェルミ推定の考え方の応用

フェルミ推定に用いられる思考力は単に数値を計算するだけでなく様々な場面で応用することができます。

①論理的思考力

フェルミ推定を行っていると常に「その考えは論理的であるか?」と問われるため、おのずと正しい論理や主張の根拠を考えるようになります。論理的思考は自分の考えを深めるだけでなく、コミュニケーションにおける共通言語として重要です。

②構造化力

構造的にものごとを考えられるようになっていると自分の頭が整理され、それぞれの要素をより深く考えることができます。また、構造化された情報は他者に伝わりやすいため、コミュニケーションコストの減少にも役立ちます。

③仮説思考力

ビジネスの場では迅速な意思決定と高い問題解決能力が常に求められるため、仮説思考が求められます。

フェルミ推定は問題解決の縮図になっているため、短時間で高い成果を出す練習として適しています。

まとめ

今回は「フェルミ推定」の概要や求められる要素について説明してきました。

これからケース面接対策を進めるためのフェルミ推定の入門として、本記事をご活用いただければ幸いです。

この後のAppendixに、例題の解答例と解説を掲載していますので、参考にしてみてください。

Appendix

市場規模=【①年間利用回数】*【②1回当たりの利用単価】

それぞれについて要素をさらに分解して考えていきます。

①年間利用回数=【今年20歳になる人口(100万人)】*【女性割合(50%)】*【振袖着用率(80%)】*【レンタル利用率(60%)】

②一回当たりの利用単価(20万円)

=480億円

それぞれの数値について

【今年20歳になる人口(100万人)】【女性割合(50%)】について

振袖のレンタルというのは一般的に女性が成人式で着ることがほとんどです。もちろん成人式以外での着用や男性の着用も全くないわけではありませんがそのような例は推定全体の量に対して取るに足らない量であるとして無視して考えてみます。

【振袖着用率(80%)】について

振袖着用率=成人式参加率(90%)*成人式での振袖着用率(90%)

それぞれの割合はかなり高いことが想定されます。

【レンタル利用率(60%)】について

レンタル利用率を考えるには代替手段を考えます。振袖を着る方法は大きく

①レンタルする

②母親や祖母の物を着る

③購入する

の3つではないでしょうか。おそらくレンタルが一番多いと想定できます。一方で母親や祖母の物を借りる人や購入する人も少なからずいると想定されるので

①:②:③=6:2:2

とすると60%とおきます。

【②1回当たりの単価(20万円)】について

これは相場として知っていればそのままおいても大丈夫ですが、相場が分からない場合は振袖の単価から推計します。レンタル会社の立場に立って考えます。

例えば振袖の平均仕入れ価格が50万円だとしたら、いくらでレンタルするのが妥当でしょうか?

3〜5年で仕入れ値を回収したいと考えると10〜16万円ぐらいでしょうか。

もう少し精緻に計算するために管理費や修繕費、人件費などを考慮して考えても良いですが、振袖は成人式当日にしか出番がないことや、仮にレンタル市場に着付け代・メイク代も含まれるという定義とすると、ざっくり20万円ぐらいと推定できます。

さて、ここまで出来たらこれらの数値をかけ合わせると市場規模を推定できます。

市場規模=【①年間利用回数】*【②1回当たりの利用単価】

①【今年20歳になる人口(100万人)】*【女性割合(50%)】*【A.振袖着用率(90%*90%)】*【B.レンタル利用率(60%)】*【②一回当たりの利用単価(20万円)】

=480億円

AC Research Group
「ビジネスプロフェッショナル・リーダーへ」キャリア最大化を支援するAlternative Careersの調査グループです。ヒアリングを通じ、最難関企業に内定された就活生・社会人の生の声をお届けします!

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