【全体像をつかむ10分選考対策】BCGの選考フローと対策を解説
更新日:
ここでは、ボストン コンサルティング グループ(BCG)の新卒選考対策のポイントを選考フローに沿ってお伝えします。選考倍率も選考難易度も非常に高い企業として有名ですが、BCGの社風理解やケース対策から内定者による各選考フローの通過ポイントまで、詳しく解説します。BCGがHPに掲載している情報や内定者の声を織り交ぜながらESからジョブ、最終面接までのフローについて説明していきます。内定までのポイントを押さえて十分な対策をしたうえで選考を迎えましょう。
BCGの概容
業務内容、強み、社風
日本のコンサルティング業界をリードする。外資にしてはウェットな環境で国内最大難度の課題を解決する
世界を牽引するコンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG)が2番目に作った拠点がBCG 東京オフィスです。1966年の設立以降、日本のコンサルティング業界をリードするトップランナーとして、インダストリーやファンクションを問わず、国内で圧倒的なプレゼンスを誇ってきました。外資系コンサルティング企業と聞くとUP or OUTのイメージが強いですが、BCGでは、外資にしてはウェットな環境でチームワークを育み、国内最大難度の課題を解決しています。BCG内定者のメンター社員の話によれば、在籍社員のみならず、BCGを卒業し起業・転職した元社員の活躍が目立つことも強みのひとつです。
新卒BCGerの過ごし方
新卒人材への投資・サポートを惜しまない会社
企業そのものの業績だけではなく、そこで働く社員や元社員のネットワークが非常に強固なのもBCGの特徴です。新卒・中途にかかわらず一度でもBCGで働いたことのある人は「BCGer」と呼ばれ、BCGersの一員として、世界中に広がるBCGerネットワークを活用することができます。特に新卒BCGerには、ひとりのコンサルタントとしていち早く自立してもらうため、成長のための投資が惜しみなく行われている印象です。内定直後から、入社後すぐに会社に馴染みBCGコンサルタントとして活躍するための研修制度が充実しているようです。
BCGの求める人材
BCGerとなるために必要な5つの要素
BCGの採用HPでは、「Qualities of a BCGer」として、BCGerになるために必要な素質についてヒントを提示しています。詳細な説明は掲載がありませんでしたが、BCGの重視する人間の素質の方向性を理解するのに役立ちます。エントリーシート(ES)を書いたり面接で志望動機を話す際にぜひ役に立ててみてください。
「Qualities of a BCGer」※カッコ内筆者訳
・Intellectual Curiosity(知的好奇心)
・Creative Thinking(クリエイティブシンキング)
・Integrity (誠実/高潔)
・Drive(推進力)
・Collaborative Mindset(協調的思考)
選考
選考時期
夏・冬・春の3回。時期が遅くなればなるほど枠は狭くなる
各選考フローの細かい説明に入る前に、内定までのおおまかなスケジュールや選考の概要をお伝えします。
昨年度時点で、新卒採用の機会は年に3回(夏・冬・春)あります。元々高い倍率の選考であるだけでなく、選考時期が遅くなるにつれて採用枠が狭く、競争率が高まっていくことが予想されます。
選考フロー
それぞれの選考フェーズで自分の多面的な能力を示す必要あり
BCGの新卒選考フローはES→Webテスト→オンライン筆記ケース→ケース面接→ケース面接→3DaysJob→最終面接の7段階です(記事作成時)
選考全体でのポイント
深く、柔軟な思考能力が必要
多様な選考を勝ち抜くためには、それぞれの選考フェーズで自分の多面的な能力を示す必要があるでしょう。特に、ジョブ選考や高難易度のケース面接が待ち構えているところから、選考難易度も選考倍率も非常に高いです。同年代の中でも思考体力、思考スピード、視点の幅と深さが求められているでしょう。
ES
選考のポイント
短い文字数の中で論理的に自分の個性を示す必要あり
ここからは各選考フローについて、概要と選考のポイントを説明していきます。まずはエントリーシート(ES)です。他の戦略コンサルティングファームと同様の特徴として、ESの文字数が少ないことがあります。ひとつの設問が400字近くある総合商社などの日系大手企業に比べて、ESの文字数もその内容をアピールする機会も少なく、短い文字数で自分らしさを伝える密度の濃いエントリーシートを作りましょう。
実際の質問
ここで、過去に実際に出題されたESの設問をご紹介します。
ゼミ・研究室の研究内容、貴方の卒論テーマ等をご記入下さい。(50文字以下)
学業以外に力を入れていたことについてご記入下さい。(趣味、スポーツ、サークル活動等)(100文字以下)
今までの人生の中で成し遂げたことで、人に話したいことは何ですか?(200文字以下)
一生のうちに必ず成し遂げたい夢は何ですか?(200文字以下)
先ほどお伝えした通り、かなり文字数を絞って伝えたいことを記載する必要がありそうです。
Webテスト
選考のポイント
事前の徹底した対策で高得点を狙う
ネクストステップのWebテストでは、他の戦略ファームと同様、かなり高い正答率を狙う必要があります。
【webテスト形式】
夏:WEBテスティングor SPI
冬・春:SPI
他の戦略コンサルティングファーム同様、テストのボーダーは非常に高く。外資系金融企業に並んで国内で最もボーダーの高い企業の一つといえるでしょう。日頃からの参考書を用いた勉強はもちろんのこと、BCGの受験をする前に他社のテストで経験と実力を積んでおくなど、対策には念には念を入れ、本気度高く向き合いましょう。
筆記ケース
選考のポイント
シンプルな出題。短時間でのアウトプットの出し方・視覚的な魅せ方の事前準備を
Webテストを通過すると、オンラインケース試験があります。
オンラインケースとは、オンライン監視システムの指示に沿って時間内でケース問題への回答を手書きで作成するものです。回答時間中は厳しく監視され、スマートフォンのカメラとPCの内蔵カメラで自身の手元や顔を映し続ける必要があります。所定の解答用紙を事前に印刷し、枠内に回答を自由に記入していきます。昨年度の制限時間は45分間で、時間終了後、手書きの回答をスキャンしてシステム上で提出するようです。テーマは基本的にはシンプルな出題で、その分、短時間で視覚的かつ思考的にも整理されたアウトプットを出すことが期待されます。回答を書き込むための所定の用紙を事前に印刷するよう案内されるので、どのように解答を記入しようかイメージをしておくと解きやすいかもしれません。
ケース面接①
選考のポイント
ディスカッションでの瞬発力と柔軟性+施策の幅を意識
エントリーシート(ES)、Webテスト、オンラインケースを通過すると、いよいよBCG社員との面接が始まります。これ以降はケース面接、ケース面接、ジョブ選考と頭の回転の速さが求められる選考が続きます。昨年度はケース面接はオンラインで行われました。1回目のケース面接では、主に自分に身近なテーマでのフェルミ推定が出題されます。社員との1対1の面接の中、ディスカッション形式で面接が進んでいくため、ディスカッションにおける瞬発力と柔軟性や、施策の幅を意識して解答することが選考通過の肝であると考えられます。
タイムテーブルと進め方
ここでは1回目のケース面接の形式やタイムテーブル、具体的な進め方をご紹介します。
形式:面接官1:学生1
時間:30分
質問内容:お互いに軽く自己紹介をした後にお題が発表されます。テンプレートがあるわけではなく、面接官の好みや学生の興味関心に応じてお題は異なります。思考時間が必要かどうかの確認があったのち3分間ほどの思考時間が与えられ、1分で発表、残りの時間は面接官とのディスカッションが行われます。
面接官の雰囲気:穏やか
結果連絡の時期:その場
BCG採用HP内のアドバイス紹介
BCGは採用HPのなかでケース面接に関するアドバイスを掲載しており、それらを活用しながら、BCGの好む思考軸を予想できるとよいでしょう。
https://careers.bcg.com/case-interview-preparation
サイト内に面接を成功させるための 5 つのヒントとコツも掲載されており、採用基準とかかわりがあるものも少なくなさそうです。以下に5つのヒントを掲載しますので、ケース面接準備の際に意識してみてください。※カッコ内筆者訳
1.Prepare thoroughly.(準備は万全に。)
Understand what it is you're interviewing for. Try to learn as much as you can about the firm's history and capabilities.(何のために面接しているのかを理解してください。会社の歴史と能力について、できるだけ多くのことを学ぶようにしてください。)
2.Be yourself.(自分らしく。)
Our recruiting team looks for diversity of experience and diversity of thought. (弊社の採用チームは、経験の多様性と考え方の多様性を求めています。 )
3. Be enthusiastic.(熱意を持ってください。)
Come in fresh, with an enthusiasm to share your experiences, and learn more about BCG and the role you are applying for. (あなたの経験を共有し、BCGとあなたが応募している役割についてより学びましょう。 )
4. Evaluate us.(私たちを評価してください。)
Use this opportunity to evaluate whether BCG is the right fit for you. (この機会を利用し、BCG があなたに適しているかどうかを評価してください。 )
5. Ask questions.(質問をしてください。)
You are interviewing us as much as we are interviewing you. Showcase your own curiosity.
(私たちがあなたにインタビューしているように、あなたも私たちにインタビューしています。あなた自身の好奇心を見せてください。)
評価ポイント (内定者の声)
ここでは、選考通過者による選考通過のアドバイスを抜粋して掲載します。
サマリー:テーマ自体の難易度は高くない。しかしながらディスカッション中の素早い打ち返しや柔軟性が特に重視されている
・ディスカッションのスピードについていけるかが見られているような気がした。部分的には引きずられるシーンもあったが、上手くヒントを引き出してキャッチアップできた点は評価されたと思う。
・基本的なケースが解けるかどうか。また、自分の意見に固執するのではなく、面接官との対話を通じて自分の考えを深化させていけるかどうか。
ケース面接②
選考のポイント
矢継ぎ早に飛んでくる高度な問いかけに自分なりの視点で食らいつく
1回目のケース面接を通過すると、そのまま2回目のケース面接に移ります。2回目はマネジメント層とのディスカッションで進むケース面接です。これはジョブ選考への参加が懸かった面接でもあるため、1回目以上に多様な観点から矢継ぎ早に高度な問いかけが飛んでくることが予想されます。マネジメント層とのディスカッションでも、自分なりの視点で食らいつくことが重要です。
タイムテーブルと進め方
時間:30分
質問内容:お互い軽く自己紹介を行った後お題を発表。思考時間が必要かの確認があり、数分の思考時間を取った後にディスカッションが開始される。時間の一部を使って、エントリーシート(ES)の内容をもとにした人物面接が行われる場合もある。
雰囲気:穏やか
結果連絡の時期:2週間以内
評価ポイント (内定者の声)
ここでは、選考通過者による選考通過のアドバイスを抜粋して掲載します。
サマリー:漠然としたお題に対しても自分なりの仮説をもって語れるかが勝負。面接官との議論を通して思考体力、論理性、好奇心を示すことが重要。
・難度の高いケースについてもあきらめずに粘り強く取り組めるかどうか。自分で考えの枠組みを提示できるかいなか
・基本的な論理的思考ができているかを見られている程度のような気がした。1次面接である程度、通過者が決まっていたのではないかと思う。
・筋の良い切り口を提示し、プロアクティブに円滑なコミュニケーションを取ることができた部分が評価された。また面接官とコミュニケーションを取る時の議論の姿勢や精度、思考体力、好奇心あたりが評価されたようである。
3Days Job選考(または1Day)
選考のポイント
思考体力、人間性、ディスカッションでの思考の強さが肝。
ハードな環境下でもチームで良いアウトプットを出そうとする姿勢と、視点の深さと幅をディスカッションでアピールできる個の強さが必要
2回のケース面接を通過すると、いよいよ3Days Jobに進みます。多くの外資系コンサルティング企業と同様、内定を得るためにはジョブ選考(インターンシップ)と呼ばれる、実際にチームで一定の時間(BCGでは3日間)をかけてお題に対するアウトプットを出す選考に参加する必要があります。BCGではジョブ選考に参加しないと本選考を受けられません。ジョブ後の最終面接がネガティブチェックであることも多いことから、ジョブが実質的な最終面接代わりと考えてもよいかもしれません。難しいお題と長時間考え続けなければいけないタフな環境下で、思考体力、人間性、ディスカッションでの思考の強さが見られます。ハードな環境下でもチームで良いアウトプットを出そうとする姿勢や視点の深さ、アイデアの幅をディスカッションでアピールできる個の強さを出すことが必要です。
タイムテーブルと進め方
2~3人のチームを組み、3日間現場コンサルタント・マネジメント層のFBを受けながら高難度のテーマに挑む
期間 : 3日間
参加者数特性 : 50人程度/ほとんどが東大早慶/体育会から理系院生まで幅広いバックグラウンド
課題・テーマ : 実在する企業の中長期成長戦略の提案
課題の進め方 : 数名のグループで最終日までにアウトプットを作成する。1日の中で複数回、様々なポジションの担当社員とのディスカッションの時間があり、そこでのフィードバックをもとに、チームで内容をブラッシュアップしていく。
評価官の人数 : 各チーム2人×10チーム
評価ポイント
サマリー:チーム全体で答えを見つけに行く協調的な姿勢が評価される。社員とのディスカッションの時間で、思考力・柔軟性の強さや視野の広さをアピールすることが重要。
・チームをリードする力はもちろんだが、個人でのアウトプット・クオリティも求められているように思う。実際、自分は1日目終わりの面談で反省点としてチームワークを挙げたら「個人のアウトプットに集中しろ」という旨のFBを受けた。
・リーダーシップ、思考の速さ、好奇心。個人フィードバックでもチームを常に引っ張る姿勢があったこと、ディスカッションでは常に思考を行なっていてレスポンスが早く正確であったこと、立ち振る舞いや話し方がコンサルにいそうとの評価を受けた。
・適宜、メンターとなる社員に中間報告を行い、2日目と最終日には個人フィードバックがある。社員とのディスカッションでは後輩として一緒に働きたいかどうかを見られていると考えたので、受け答えの素直さなどを特に意識した。
最終面接
選考のポイント
基本的にはネガティブチェック。Jobでの評価によって内容が異なるため、油断せず望む
ジョブ選考で高いパフォーマンスを発揮し、それが評価されると次の面談、つまり最終面接に呼ばれます。人事採用担当を通して個別に日程調整を行い、2回目のケース面接と同様のポジションを務めるマネジメント層と最終面接を行います。基本的にはネガティブチェックといわれているものの、ジョブでの評価によって内容が異なるといわれています。過去にはケース問題を課された学生の体験談もありましたので最終面接に進んだからといって油断せず望みましょう。
タイムテーブルと進め方
時間:30分
評価ポイント:基本的にはネガティブチェック。内定前提であればその旨を伝えてくれることが多く、時間のほとんどが逆質問や入社後の話であることもある。ケース問題が課された場合も、これまでやってきた基本的な事項を忘れずに行えば問題なさそうです
最後に
いかがでしたか。ここまでボストンコンサルティンググループ(BCG)の選考フローとそれぞれの通過ポイントをお伝えしてきました。日本を代表する大企業のトップ層とタッグを組んで日本を変える仕事ができるBCG。皆さんが選考を受けるにあたって、本記事が参考になれば幸いです。